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桜の花びらが舞う川沿いを早足で通り抜ける。ここを過ぎれば、高校はもう目の前だ。
今日は俺が通っている高校、私立未来ヶ丘学園の入学式当日である。
近くではしゃぐ新1年生達の声を聴きながら通学路を歩いていると、後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
「夏斗、歩くスピード速いよー」
「お前が遅いだけだろ」
「失礼しちゃうなぁ」
そう言ったが、決して怒っているような口振りでもなく。いつも通りの飄々とした態度を崩さず、彼はけらけらと笑って俺の隣に駆け寄ってくる。
「2年も同じクラスだったらいいのになぁ」
「・・・またお前と一緒か、ってなるわ」
「なんだかんだで小中高殆ど同じクラスだったし・・・腐れ縁って本当に怖いねぇ」
そう言って微かに溜息をつく幼馴染に、確かに、と俺は頷いた。
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