第二章

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 彼女はにっこり笑った。その勢いで昼食に誘ったが「行きたいけどお昼ご飯出るのよ」と残念がった。よく訊くと休みの日以外は朝昼晩三食出て寮費も取らない。これは給料がそのまま残り彼女とも頻繁に会えるから躊躇う理由は何もなかった。あの陽子と云う子も寮だった。彼女たちが本宅に帰った後はみんな弁当持参で食事に誘える子はいなかった。これも住み込みの後押しをした。これで残る不安を払拭出来た。また陽子から希美子へ直ぐに目移りしてしまった。  一目で彼女の存在が気になりだすと出来るだけ彼女と長く居たい。仕事が終われば帰るのが辛い。誘い出す勇気も持ち合わせていない。此の人ともっと身近に居たい。どうするか、彼女と同じ住み込みにすればいい、これが一番の動機だった。 最初の面接で先生から住み込みで来たらどうやと言われていたから、希美子に頼んだら次の日の昼休みに部屋を宛がわれた。深山と一緒に実家から布団と小物だけ運び出した。       
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