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折れた翼に触れられ刺すような痛みが走り、俺は男を食い殺してやろうかと鋭く尖った爪を伸ばした。
「貴様っ…!」
「終わった、どうだい、少しはましだろう?」
だが、確かに先程よりかは痛みがましになっていることに気が付いた。
…不服だが動くとまた痛みそうなので大人しく伸ばした手を下げた。
「お前は阿呆だな」
悪魔を助ける人間がどこにいる。そう問えば男は笑っていた。
少し頭の方が足りないのかもしれない。
「善意のつもりか、感謝などしないぞ」
「感謝はいらない。その代わりに君の名前を教えてほしいな」
「はあ?」
何を言っているんだこの男は。
「悪魔に名前はないのかい?」
あるにはあるが何故教えないといけない。
俺が何も返さずに睨み付けていると男は気を悪くさせたならごめんねと謝った。
そして俺から離れ近くの枝や木を拾い集めだした。
「薪を取ってくるように言われているからすぐに戻らないといけないけれど…また明日来るよ。大したものは用意できないけど明日は何か口に入れるものを持ってくるね」
そう言うと男は集めた枝を両手に抱えてもと来た方へと歩き出した。
「君の事は誰にも言わないから安心してくれ」
男はどうやら少し足りないどころか本格的に頭が空っぽなのだと俺は思った。
次の日、またあのやせっぽちの奴隷男がやってきた。
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