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「ごめんな。側にいてやれなくて」
「ううん。俺こそ、ごめん。俺がちゃんと莉子のこと守らなきゃいけなかったのに」
「なに言ってんだよ。守ってくれたんだろ」
都亜の頭を優しく撫でてやる。いつもなら子供じゃないって不貞腐れて振り払うだろうところを、きっと恐ろしい思いをしたんだろう素直に受け入れていた。
「ちょっと、莉子寝かせてくる」
「ありがとう。俺も、ちょっと自転車直してくるな。放り投げてきたから」
「はは。ありがと、兄ちゃん。おかえり」
本当に、いい子に育ったな。たくましくなった。莉子を隣の部屋に運ぶ背中を見ながらそう思った。
「借金取りは?」
「しばらくドアの前で騒いでたけど、電気を消してじっとしてたらしばらくして静かになった」
「そうか。なにか言ってたか?」
「返済期限が過ぎてるって。さっさと返せって怒鳴ってた」
どんなところから金借りたんだろう。もしかして、ヤミ金と言われるところだろうか。そうだとしたら、取り立てとか恐ろしい。きっとこれだけで終わらないだろう。二人のこと、守らないと。
でも、返済に当てられるお金はない。バイト代も、家賃とか日々の生活費でいっぱいいっぱいだ。もっとバイトを増やすしかないのかな。でも、その分都亜の負担が増えてしまう。家のこと任せっきりにはしたくないし。でも、そうしないと借金返済にお金を当てることができない。
どうしたら・・・、どうしたらいいんだろう。
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