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「あ、あの。場所を変えてもいいですか。妹が怖がってるので」
「・・・・・・ちっ、しかたねぇな」
ダメもとで言ってみたが意外にも受け入れられ怯えながらも外に出た。借金取りはその人一人だったらしく、回りを見ても他の人はいなかった。
「ちいせぇガキがいんのか」
「・・・幼稚園児と中学生の兄妹です」
あまりプライベートをしゃべらない方がいいのだろうが、どうせ調べられたらわかることだろう。きっとこういう人は、借金を返し終えるまで付きまとってくるんだろうから。
「あの。借金はどうにかして返します。ですから、少し待ってもらえませんか?」
「こっちは慈善事業じゃねぇんだよ。それにな。利子ってわかるか? 先延ばしにすればするほど借りた額が利子によって多額になる」
「わかってます。でも、本当に今手持ちがなくて・・・生活するのにギリギリで」
バイトの時給だってたかが知れてる。都亜に負担はかかるけど、バイトを増やすしかないのか。バイト増やして、その分借金の返済にあてて、それから。
「お前、歳は」
「十九・・・あ、あと一週間もすれば二十歳です」
「成人すんのか。・・・お前、綺麗な顔してるしな」
「え?」
男の人に品定めをされるように頭の先から足先までまじまじと見られる。その不躾な視線に怪訝に思いながらも俺は黙って言葉を待った。
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