骨、飢餓、チョコ

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 道はちょうど、あの星の下へと続いているようだった。碧は変わらぬペースで歩みを続けた。  男にあげたチョコは、ホワイトデーのお返しとして碧が用意したものだった。  父がいない碧には、ホワイトデーに何を返すべきか尋ねることができなかった。母に訊くのも、なんとなく躊躇われた。これは、自分自身で考えないといけないことだと思った。  ネットで検索をすると、愚にもつかない記事ばかりがヒットした。参考になりそうな情報だけを拾い、彼なりに筋道を立てて考えて、やはりお返しにはチョコしかないと結論した。  こつこつ貯めた小遣いが八千円ほどある。これで高いお店の上等なチョコを買おう。  手作りのチョコに対して、店の高いチョコ。不器用な自分にはこうするくらいしか彼女の真心に応えることができない。  小春は怒るだろうか? いや、彼女ならきっと怒らないだろう。二人で並んで、説明を一緒に読んで、笑いながら選んで、食べさせあって……  その夢は今、ちょうどコーヒー味一個分だけ欠けてしまった。しかし、碧はそれを残念とも思わなかった。  小春は怒るだろうか? いや、少しは怒るかもしれないが、きっとそこまで怒らないだろう……
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