警察庁祓魔課の帝王学

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警察庁祓魔課の帝王学(マキャヴェリズム) 重々しい空気の中、夥しい数の妖魅妖怪に囲まれているのは、田所紀子と勘解由小路降魔だった。 眼前に構えるのは列島を二分する西の首魁、名高き鬼神の王、温羅(うら)だった。 紀子の緊張はどこまでも高まっていった。 さあ。始めよう。準備は既に整っている。 勘解由小路は厳かに言った。 本気?正気とは思えない。相手は西の首魁だ。号令一つで数百数千の霊的存在がまとめて襲いかかる。 骨すら残るまい。 用意されたものを淡々と進めていく。勘解由小路には余裕があった。温羅はイラついて見えた。 そして、開始から30分で勘解由小路は叫んだ。 「イイェアアアアアア!温羅破産!ダッセエエエエエエエエエ!負けたことないって?!俺もなんだよモノポリーふううううううううううううううう!イイトコ無しの温羅さんダッセエエエエエエエエエ!」 「うううううがあああああああああああああ!!」 悔しさに満ちた温羅の叫びが聞こえていた。 モノポリーで簡単に列島の西半分を併呑した覇王の如き男を見つめながら、どうして自分の(いみな)は百鬼姫なのかをぼんやり考えていた。 「温羅は今から俺の犬な。コーラ買って来いよ。田所、お前は?」 という声が聞こえた。 いるかボケオヤジ。紀子はボソッと呟いた。
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