プロローグ

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魔の者の楽園【ヤンドゥール】と呼ばれ、人々に恐れられる場所があった。 そこは人類の怨敵どもが巣食う場所。 魔の者どもの障気を糧に動作する管理結晶により、自動で拡張を続け、迷宮と化し、新たな魔の者を産み出す。 魔王を称する者が人類へと宣戦布告をし、後に人魔大戦と呼ばれる戦争が始まって五年。 人類の希望たる『勇者』『武仙』『闘神』『冥弓』『聖母』の五名が、この戦いに終止符を打つ時が来た。 幾度の困難を越え、仲間たちとの絆を育んだ旅も終わりに近い。 彼らの目の前には、魔王。 そして【ヤンドゥール】の心臓たる管理結晶。 『聖母』による再生と強化の付与。 『闘神』『武仙』による斬撃と拳撃の嵐。 『冥弓』による死角からの弓撃。 『勇者』による致命の聖剣技。 彼らの人の枠を超越するほど練られた技も魔王の前では霞む。 魔王はそれほどまでに圧倒的であった。 最初に倒れたのは『聖母』。 魔王は回復を一手に担う彼女が、この場でもっとも厄介であると判断していた。 魔王は四名の猛攻をその身に受けながらも、彼女を結界ごと魔法で貫いた。 そこからの勇者一向の瓦解は早かった。 『武仙』『闘神』は再生と強化の付与が切れた一瞬の隙を突かれ。 『冥弓』は欠けた前衛を埋めるには至らず魔法の槍に貫かれた。 魔王は嗤った。 五名のうち四名を下し、安堵してしまった。 この大戦を自陣の勝利で終えることができると。 『勇者』の聖剣が爆ぜた。 魔王の心の隙を突き、『勇者』は【ヤンドゥール】の管理結晶を砕くことに成功した。 魔王は慢心した己と怨敵に激怒し、『勇者』へと致死の一撃を繰り出す。 『勇者』もまた、散っていった仲間の思いを乗せた一撃を繰り出す。 人魔大戦は終結した。
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