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翌日、放課後。
平野を含め一行は生徒会室に集まっていた。
昨日までの出来事を一通り報告し、朔也はふと感じたことを口にする。
「でもさ、紀藤のオヤジ、何かイメージと違ったよな」
「そう? いかにも金とちっぽけな権力を死守したい成金オヤジって感じだったじゃない?」
いつもの調子で切り返した奈津実だったが平野がいることに焦り肩をすくめた。
「それも感じたけど……自分の身可愛さというよりは親バカ感の方が強かった気が……」
それも霊感? と書いた顔で睨む奈津実に朔也はチェッとそっぽを向く。
「四津谷君がいじめられていたことを語らないのは、やはり紀藤君が怖いからなのかしらね……このままだとお母様の経済的負担も相当なものになってしまうし、ケガが治っても学校に来辛くなって引きこもってしまわないか心配だわ」
平野の言葉を受け、差し入れのシュークリームをモシャモシャと頬張っていた江が口元にクリームをつけて得意げに笑う。
「薫クンと雅貴クンは友達だよ!」
三人は一様に訝し気な表情で江を見た。
「雅貴クンの部屋にはムーが沢山あったもん。壁は惑星のポスターでいっぱいだったし。薫クンに宇宙人のこと教えてあげたのは雅貴クンだよ」
「ムー?」
思わず口にして、話が逸れると後悔する奈津実。
「UFOとか宇宙人とか他にも世界の謎と不思議に挑戦してる雑誌だよ! オカルト好きのバイブルだぞ! なんで知らないの?」
「オカルト好きじゃないからよ!」
憤る奈津実をよそに江はいつもより少し控えめに続けた。
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