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はぁ? と両手を広げる奈津実。
「それ刑事ドラマの聞き込みで発覚する容疑者の発言ナンバー1じゃない」
「ナンバーワーン!」
違和感をあらわにして突っ込む奈津実と無駄な合いの手を入れる江。
いつものことなので気にせず朔也は続ける。
「だからサッカー部に入らせてあげられなくてゴメンて泣いてたとか」
信じられない、信じたくないといった様子で平野は呟く。
「まさか……四津谷君が紀藤君を利用して慰謝料をせしめようとしてたってこと?」
「まさか、まさかのマッカーサー! ギブミーチョッコレーイト!」
「うるさい!!」
一行は薫の所に出向いた。
江が薫の傍に座り、それ以外の三人は台所から二人を見守る。
最初は神妙な顔つきだった薫だが江の屈託のない笑顔につられ頬が緩みだす。
「これ、雅貴クンから」
薫はキョトンとしながらもその封筒を受け取り中身を取り出した。
それは三十枚はありそうな福沢諭吉だ。
台所から身を乗り出して驚いている三人。
困惑した瞳を見開き固まる薫。
そんな薫に江は子供に言い聞かせるような口調で話しかける。
「雅貴クンは大切なお友達でしょ? このままじゃ会えなくなっちゃうかもよ?」
薫は見開いたままの瞳から綺麗なしずくをぽたぽたとこぼしながら、おもむろに語り出した。
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