独白

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 雅貴君は僕の為にこの計画を考えてくれたんだ。  うち、もとから裕福じゃなかったけど、三年前に父さんが急に倒れて入院して。  それからは母さんが朝から晩まで働いて、僕も朝夕新聞配達したりして何とかやって来た。  妹が産まれてからは僕は夕刊の配達は辞めてうちのことに専念した。  弟にも沢山我慢させちゃって、でも家族の笑顔を糧にみんなで頑張ってたんだ。  それが急にアパートを立ち退けって言われて。  そんなお金ある訳ないし、学校辞めて少しでも働こうかなとか悩んでたんだ。  そしたら雅貴君が僕が悩んでることに気付いてくれて。  あるとこからもらえばいいじゃん! て。  どうせ父さんは保身のためにお金でさっさと解決したがる、治療費と慰謝料もらって示談に応じれば何の問題もないよ、って。  それじゃ雅貴君の経歴に傷がついちゃうって言ったんだけど、学生時代のケンカなんて大した問題じゃないし、薫が訴えなきゃ大丈夫だから、って。  え? うん。友達だよ。  雅貴君は僕と仲良くしてくれるんだ。 『あとは俺がやる。お前らはもしもの時のアリバイ作りにどっかで俺といるような感じだしとけ』  体育館裏の雑庫で雅貴の取り巻きに絡まれ蹴飛ばされると思い薫が身構えた時、雅貴は足を振り上げた生徒を後ろから思いっきり引っ張りそう言った。 
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