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そして二人きりになると寝転ぶ薫のそばにしゃがみ込む。
薫は再びキュっと身体中に力を入れて目をつむった。
『これ、なに? ラピュタの飛行石みたいな?』
薫が恐る恐る目を開けると、首からぶら下げた緑色の小さな巾着袋を雅貴がそっと突いていた。
それはほんのわずか宙に浮いているのでフワフワと揺れている。
『なんかちょっと光ってるし。反重力の力、ヴリル・パワー……』
雅貴に暴力を振るう気配がないことを察し薫は緊張を解いて起き上がる。
『……ヴリル・パワーって?』
実はこれが何なのか薫も知らなかった。
先祖代々受け継いできたものだから肌身離さぬように、と母から受け継いだのだ。
だから薫もずっとこの微かに輝き決して地に着くことのない物体が何なのか気になっていた。
『万能の力を持つものだよ。UFOのエネルギー源ともいわれてるんだ』
雅貴の言葉に薫は目を輝かす。
『UFOを信じてるの?』
『信じるも何もこの無限の宇宙に地球人だけのはずないだろ』
最初はいじめられると思って怖かったんだけど、雅貴君は助けてくれた。
いつも周りにいる三人には雅貴君も困ってるみたい。
基本雅貴君には逆らわないんだけど、一人でいいからって別行動しようとすると機嫌損ねて雅貴君にも横柄な態度をとるんだって。
多分、PTA会長の息子の親友って肩書が欲しいだけなんだろうって悲しそうに言ってた。
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