いつもの放課後

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「でね、でね、それはニャンコだったって証言があってね! その謎に迫ってるワケ!」  両手を握り締め額に血管を浮き上がらせてワナワナしていた奈津実が、いつものように叫びながらボールペンを投げつける。 「猫はそういう生き物よ!」  江と朔也は校内ではそこそこ有名なコンビである。  どこから見ても可愛らしいルックスで屈託なく人懐っこい江。  大きな瞳にまあるい頬は高校生には見えないし、男にも見えない。  制服がない為ユニセックスなファッションも手伝って、最早『イチセキコウ』というジャンルを確立している。  長身で手足もスラリと長く何を着ても映える朔也。  顔も無難に整っているので単純にカッコイイと人気を得ている。  しかしシャイな性格で未だお付き合いの経験はない。  それどころかキャアキャア言ってくる女子が怖くて逃げ惑っている。  そんな2人と相対する生徒会長。  漆黒のボブは両サイドをピンでまとめてあり、眼鏡の奥の眼光は鋭い。  基本難しい顔をしているが怒っている訳ではないらしい。  いつも着用しているベストがトレードマークで、意外なナイスバディを強調している。  奈津実が投げ飛ばす文房具をいつものように冷や汗をかきつつかわす朔也。   「半年くらい前にその公園のとこで事故が続いただろ? 猫たちが集まって道を塞ぎ出したのがその頃かららしいんだ、って危ね!」  いつものようにピョンピョンしながら楽しげに避ける江。 「だから事故がニャンコのせいだって言われてるんだけど、朔也はニャンコは悪くないって! 真相を突き止めるんだって!」
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