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朔也は腕を組みフフンと鼻で笑う。
「飛び交うって失礼な。飛ばしてんのは会長だけだぜ」
「あなた達が飛ばさせてるんでしょう!」
条件反射のように怒鳴る奈津実に、江が特命係のベテランデカ並みのパフォーマンスを披露しながら声をかける。
「まあまあ落ち着いて、紅茶がはいったよ!」
「勝手に淹れないで!」
奈津実が叫びながら振り向いた先の応接セットには江と朔也、平野までもが腰を下ろし優雅に紅茶を嗜んでいた。
江にいたっては平野が持参した大福で、既に口元を真っ白にしている。
「津川さんもお座りなさい」
教師生活三十年の貫禄に返す言葉もなく、奈津実は仕方なく平野の横に座り不服と言わんばかりの声を出す。
「先生、どうかなされたんですか?」
「えぇ。実はオカルト同好会にお願いがあって来たのよ」
これ以上ないほどに眉をひそめる奈津実。
江と朔也に会うなら生徒会室、と思われていることが不本意極まりない。
「彼らは同好会として認められていませんが」
「まぁ、そうなの? でもどっちでもいいわ」
平野の言葉ににやける江と朔也。
奈津実は悔しさで顔面を歪ませる。
「先週、生徒が階段から落ちた事故は知ってるわよね?」
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