いつもの放課後

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 まったくだと言いたげに頷いて平野は続ける。 「確証はないのだけれど紀藤君たちが四津谷君をいじめていたかもしれないの。今回のこともその延長だとしたら私は絶対に曖昧に終わらせたくないのよ。世間に問い正される前に全てを白日の下に晒して健全な学校の在り方を提示したいの」 「その通りです!」  熱い平野の訴えに奈津実は力強く賛同する。  朔也も大きく頷いて姿勢を正した。  江は足をバタバタさせ、またもお決まりポーズで嬉しそうに叫ぶ。 「分かった! 事故現場を見てた浮遊霊を朔也に憑依させて証言してもらうんだね!」  すかさず被せ気味で突っ込む奈津実。 「浮遊霊の証言に証拠能力はありません!」 「じゃぁ地縛霊?」 「そういう問題じゃない!」 「じゃぁどうして欲しいの?」  江はムダに可愛く首をかしげてキョトンと平野を見る。 「実は話を聞かせてもらおうと何度も四津谷君のおうちに行っているのだけど、こちらの話は全然上の空で意味の分からないことばかり言うのよ。先生はオールドソウル型だから地球に馴染んでるとかなんとか。それがどうやら宇宙人の話だって分かったの」 「「「宇宙人!?」」」  珍しく江と朔也、奈津実がシンクロする。 「まずは四津谷君の話を聞いてあげなきゃと思ってね。オカルト同好会なら宇宙人の話について行けるでしょ?」 「イエーイ! 宇宙人キター!! 見たい、会いたい、宇宙人!!!」  今夜のご飯はハンバーグだと判明した幼児並みのキラキラした笑顔ではしゃぎまくる江を横目に奈津実は平野に(くら)いつく。 「先生! 仮に宇宙人の話が出来たとして、こんな得体の知れない連中を連れて行ったらご家族が心配なさいますよ!」  平野はピョンピョンと跳ね回る江と腕を組み薄ら笑いを浮かべる朔也を見比べて、そうねぇと言うと奈津実を正面に捉えて微笑んだ。 「なら津川さんにも一緒に来てもらおうかしら」
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