第1章

1/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ

第1章

ここは……どこだろう……。 古びたアパートの一室。狭い自室のベッドでまどろみながら、ぼうっと天井を見ていたことは覚えている。 まぶたが重い。視界がはっきりしない。 暗いけれど、小さな光源が離れたところに無数にあるようだ。 ふわふわしてやわらかい感覚を背中に感じる。だがベッドの感覚とは違う。 これは夢なのかもしれない。 おかしなことだと僕は思った。この頃は、夢なんて見ないことがほとんどなのに。 夢を見ていることを、夢の中で自覚することなんてこれまでなかったのに。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!