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第1章
ここは……どこだろう……。
古びたアパートの一室。狭い自室のベッドでまどろみながら、ぼうっと天井を見ていたことは覚えている。
まぶたが重い。視界がはっきりしない。
暗いけれど、小さな光源が離れたところに無数にあるようだ。
ふわふわしてやわらかい感覚を背中に感じる。だがベッドの感覚とは違う。
これは夢なのかもしれない。
おかしなことだと僕は思った。この頃は、夢なんて見ないことがほとんどなのに。
夢を見ていることを、夢の中で自覚することなんてこれまでなかったのに。
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