放課後の教室で好きな女子の笛をペロペロ作戦

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放課後の教室で好きな女子の笛をペロペロ作戦

「これは人の気持ちを味わえる飴だ!」  じいちゃんは発明家で、夢で見た未来の技術を使って発明している。と、本人が言っている。  今回の発明は、舌にある味を感じる器官「味らい」で人の気持ちを感じられる飴らしい。 「名付けて『未来の味らい』。さあ裕紀よ。これを舐めてから、お前の好きな袴田の里江ちゃんを舐めれば、気持ちが一発で分かるぞ」 「本当に効果あるの、これ?」 「失敬な。既に実験済みだ」と、じいちゃんは胸を張った。 「でもさ、じいちゃん。舐めるのはハードルがたけぇよ……」  ◆◆◆  翌日、夕日に赤らむ教室にこそこそと忍び込む影ひとつ。  ――俺だ。  例の飴を舐めながら、袴田里江ちゃんのロッカーを開ける。  中には教科書と一緒に黒い長方形のハードケースが入っている。これはクラリネットのケースだ。  俺と里江ちゃんは吹奏楽部で出会った。だから、ここに里江ちゃんがクラリネットをしまっていることを俺は知っている。  そう――「放課後の教室で好きな女子の笛をペロペロ作戦」である。  体を舐めると気持ちが分かるとはつまり、体液を舐めてその成分から気持ちを読み取るということだ。     
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