~第三章~ 覚醒

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シノブは相変わらずだった。 無言で楽屋の隅に座り、「禁煙」と書かれたプレートを正面に見据えて・・・ 一人煙草をふかしている。 完全に未成年だが・・・メンバーもオーナーも何も言わない。 白い煙を吐いて、目を細める仕草。 同じ様に見えるが、その眼差しは確実に数ヶ月前とは違う。 殺気と警戒に満ちた、「あの頃」とは・・・ それが皆にとっては何より嬉しかった。 「し~の~ぶぅ~~ちゃぁ~~~~~ん♪」 オーナーが隣に座る。 シノブはちらりと視線を向けただけで、何も言わない。 「あのねぇ、お願い聞いて欲しいんだけどなっ」 「・・・・50過ぎたおっさんが、気持ち悪い声出すなよ」 失礼極まりない言葉だが、どうやらいつもの事らしい。
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