~序章~ 誕生

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~序章~ 誕生

男は苛立っていた。 心待ちにしていた第二子の誕生。 しかし、期待は裏切られた。 「おめでとうございます。可愛い「女の子」ですよ」 男が望んだのは、「息子」だった。先に娘を一人もうけ、次こそは「息子を」と願っていた。 「何故・・・」男はつぶやいた。 新生児室で寝息をたてる「二人目の娘」を、いぶかしげに見つめ・・・ そしてその苛立ちが、「憎悪」に変わるまで・・・さして時間はかからなかった・・・ 二人の娘達は、すくすくと育っていった。 「セレスティナ」と名付けられた「二人目の娘」も。 しかし・・・「父親」である男の笑みは、「長女」にのみ注がれていた・・ 顔つきもよく似た「姉妹」。 だが、「妹」・・「女」である「二人目の子供」の存在自体が、彼には許せなかったのだろう・・・ そして、「妹」である少女・・まだ3~4歳の少女もまた・・・ 「父親」から「愛されていない」事を・・感じていた・・・ 理不尽な虐待、差別・・・ それでも少女は耐え続けた。 「私が痛いって泣いたら、パパは喜ぶの」 アザだらけの顔で、少女は笑った。 「お前さえいなければ」 「お前が生まれて、俺がどんなに苦しいか解るか?」     
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