応報

5/16
前へ
/16ページ
次へ
ある日、俺はまたあいつの悪夢にうなされて目を覚ました。 みんなの前で怒鳴られ、ただ震えるだけの俺。 俺なりに一生懸命やっているのに、他の社員のミスまで俺のせいにされた。 役立たずと、見る前から俺の報告書がぶちまけられた。 そんな夢だった。 窓の外から雨音が聞こえる。 心は重くて、体がだるい。 ストレスで枕には髪の毛がたくさん抜けていた。 「最悪だ」 そう呟いた時、一階からじいさんの声が聞こえた。 苛立っている様で、何やら文句を口にしているようだった。 何を言ってるかはよく聞き取れないというのに、ある言葉だけが確かに聞き取れた。 ーったく、役立たずが。 はっきりと、そう聞こえた。 俺の脳裏にあいつの顔が、浮かび上がった。 握りしめた拳から、血が滴り震えていた。 じいさんは強い口調でばあさんに何かを言った後、何処かへ出掛けたのか、ドアが開く音が聞こえた。 罵声を浴びせられた俺と、ばあさんの姿が重なった。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加