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ある日、俺はまたあいつの悪夢にうなされて目を覚ました。
みんなの前で怒鳴られ、ただ震えるだけの俺。
俺なりに一生懸命やっているのに、他の社員のミスまで俺のせいにされた。
役立たずと、見る前から俺の報告書がぶちまけられた。
そんな夢だった。
窓の外から雨音が聞こえる。
心は重くて、体がだるい。
ストレスで枕には髪の毛がたくさん抜けていた。
「最悪だ」
そう呟いた時、一階からじいさんの声が聞こえた。
苛立っている様で、何やら文句を口にしているようだった。
何を言ってるかはよく聞き取れないというのに、ある言葉だけが確かに聞き取れた。
ーったく、役立たずが。
はっきりと、そう聞こえた。
俺の脳裏にあいつの顔が、浮かび上がった。
握りしめた拳から、血が滴り震えていた。
じいさんは強い口調でばあさんに何かを言った後、何処かへ出掛けたのか、ドアが開く音が聞こえた。
罵声を浴びせられた俺と、ばあさんの姿が重なった。
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