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窓から部屋の中を覗くと、そこには身を屈めているばあさんがいた。
ハッとした俺は、ばあさんと呼びながら窓を思い切り叩いた。
窓の鍵は閉まっておらず、俺はとっさに窓から靴を脱ぎ棄て中に入った。
ばあさんは気絶しているのか、目を閉じたままで呼んでも肩を揺らしても目を覚まさない。ふと、ばあさんの体を起こした時、懐にあったそれを見てぎょっとした。
それは、白い陶器の骨壺だった。
部屋を見回すと、じいさんの遺影と乾いた仏花が飾られていた。
ばあさんは目を覚まさないが、口に手をやると呼吸はしている様子だった。
俺は慌てて救急車を呼んだ。
窓の外には猫とカラスがいて、黙ってこちらを見ていた。
まるで俺を睨んでいるようだった。
あんなに口の悪いじいさんを、ばあさんは愛してたっていうのか?
お前は役立たずだ。
使えない奴だ。
あいつの声が、まるで耳元で囁くように聞こえた。
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