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Bitch
三月下旬の日曜日、今日は朝から快晴だ。私が目を覚ましたのは午前七時。夫はまだ眠っているが、二歳の息子は私が起きた気配を察知して起き上がる。そして、私が布団から抜け出すと、お腹が空いたと訴え始める。私は冷凍庫で凍らせておいたホットケーキを電子レンジで温めて息子に食べさせた。
夫が起きてきたのは、それから一時間後のことだった。夫は眠そうに大きな欠伸をしながら、窓の外を確認する。
「美沙子、今日はずいぶんいい天気だね」
「そうね。天気予報でも、一日中晴れだって言ってたわ」
「へえ。絶好の土筆摘み日和だな」
「ああ、そうね。そろそろ土筆が出てる頃かもね。土筆摘みに行ってみる?」
「ああ、行ってみようか」
夫はそう言うと、空腹を訴えるかのように腹を手で撫でる。私は夫のためにトーストを準備した。
我が家では毎年春になると土筆を摘みに行き、それを調理して食べるのが恒例となっている。もっとも、私は結婚するまで土筆を摘みに行ったこともなかったし、それを食べたこともなかった。もちろん、どうやって調理するのかも知らなかった。
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