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「なっ、ちゃんと出張先のお土産も買ってたよな、毎回。カラ出張の訳がない」
妹に同意を求める父。
「残業も多かったし」
母の疑いは続く。
「そりゃあ、あれだろう。仕事が充実してたって言うか・・・」
「何の充実かしらね」
「呪術って怖いらしいよ」
”充実”と”呪術”を聞き違える妹。
いやいや、母さんそれは無いって、普通に考えて。そんなの子犬のお返しで済まないって。浮気をしたかしないかは別として。
あと妹よ、呪術も怖いかもしれないが、この場合”充実”の方が怖いかもしれない。
「あの頃から白髪を染めだしたのよね」
「それは、若白髪が増えたからで」
母よりも父の方が若干震えが大きくみえる。親父め、やったのはやったな。
「ねえ、父さん。ヘンピンも歳を取ったら白い毛になるのかなあ?」
そんな二人の間に平然と割って入る妹の麗奈。
「ねえ、母さん。ヘンピンを金髪に染めたら可愛いかなぁ?」
「そうねえ、父さんの体も一緒に金髪に染めたほうがいいかもね。
恥ずかしくて人前に出れないように」
さて、そろそろ俺の出番かな。
<おしまい>
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