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俺の反応を窺う色濃く一族の血の影響を受ける、家族の他3人の顔がちょっと面白く見える。
「どうした、ニヤニヤして」
やばいことに、それを父に気づかれてしまった。
「いや、ちょっと心に余裕を。と思って」
と、誤魔化しにもならない誤魔化し。でも、
「そ、そうか」
自分の親に対して何だが、ちょろ過ぎる。
「微かに鳴き声がするから、多分、中に生き物が居ると思う」
「生き物って、まさか爬虫類じゃないでしょう」
母が気で味悪そうに、そう言ってくるが、爬虫類は鳴かない。
思わずテレビ番組で良くある「箱の中身はなんだろなかよ」って突っ込みそうになるのを、寸でのところで飲み込む。少しでも面倒になりそうなことは言わない主義だ。
「いや、犬じゃないかと思うけど?
ちょっと、開けてみる」
そう言って、俺が箱を開けようと手を掛けると、後ろから皆が俺から離れる気配がする。
振り返ると、天然の母は顔を手で覆い指の隙間からこちらを凝視。小心者の父は顔を後ろに向けて見ようともしない。妹の麗奈は、父の陰からこちらをのぞき込んでいる。
それぞれが、いかにも箱が爆発でもするのを恐れるかのように。
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