0人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、それで俺の行動を止めようとしないってことは、俺を犠牲にしてでも中を見たいってことと同義ってことになるのだけど。彼らはそれに気づかない。
俺も、まあいいかってことで、仮止め程度に箱を止めてあったガムテープを、さっさと剥がしてしまう。箱の止め方の緩さからして、全く危険は感られない。
それよりも、どんな子犬が出て来るかと思うと、ちょっとドキドキする。
ガムテープを剥がして、箱が半開きになると「クンクン」と、いかにも不安そうな鳴き声が聞こえて来る。
心配になって急いで箱を開けると、予想通り中には真っ黒の一匹の子犬。犬には詳しくないが、生まれて間もないように見える。
「クロイヌヤマトの宅急便かよ」って、突っ込もうかと思ったが、意味が無さそうなので止めることに。
子犬は、俺が箱を開けるのを待っていたかのように、手を入れると俺の指を舐めて来る。
「ああ、元気みたい」
俺がそう言って、箱の前から離れると、真っ先に箱の中を妹の麗奈が近寄って来た。
「ぅわあ~、可愛い!」
妹の麗奈はそう言って、子犬を箱から出して抱き上げる。
父と母も近づいて、その可愛さには目を細めるも、困惑は隠せない。一応、今後の展開が気になるのだろう。
「誰が置いていったのかしら。可哀そうに」
最初のコメントを投稿しよう!