お返しが

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 爬虫類でないことに安心した母に子犬を心配する余裕が生まれるが、「可哀そうに」って言ってしまうところをみると、飼う気はないのが分かる。 「誰か、心当たりはないのか?」  父に問われても、あれば既に言っている。皆が首を傾げていると、 「でも、なんのお返しなのかしら?」  と母が。やっぱ、そこが気になるのかと思ったら、「ハムとソーセージの詰め合わせが良かった」とか、「甘いものが良かったとか」ブツブツ言っている。今、そこかよ! 「誰か、お祝いか何か渡したか?」  父はそう問うが、中学生2年生の俺と小学生3年生の妹の麗奈がお祝いを渡すわけがなければ、天然の母が父に黙って金品を渡すとは考えにくい。  首を横に振る俺と母。それと、子犬を抱いて全く気にもかけない妹の麗奈。気持ちはもう飼う気満々である。 「ああ、そうだよな。なんかの間違いかもな」  自分の言った言葉の場違いさを感じ取ったのかあっさりと引き下がる父。  そもそも生き物のお返し何てあり得ないことは中学生の俺でもわかる。困った挙句の凝り過ぎの押しつけか、嫌がらせと受け取る方が可能性が高い。  こちらに心当たりがあるような人が、こんなやり方で子犬を置き去りにする訳が無いだろう。だからこその無記名の「お返し」ではないだろうか。  では、さてどうするか?     
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