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カーテンが春風を招き入れた。
陽光にベッドが照らされている。皺一つ無く整えられたベッドはさながら白銀のステージ、その上で無数のホコリがゆっくり舞い踊っている。晴れの日の有り触れた光景を、優斗は所在無げに眺めていた。
優斗が入院してから二年の歳月が経っていた。その内の半分くらいは無菌室で過ごしたが、それでもこの病室には随分長くお世話になった。手術の後、目を開けると包帯ぐるぐる巻きでココに寝かされていた時のことが懐かしく思い出される。しかし今日でお別れである。
スマートホンが震えるのを感じポケットから取り出すと、母からメールが届いていた。『着いた』とのこと。駐車場がいっぱいで車を停められないのだろうか。優斗は手提げかばんを手に取り椅子を立った。
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