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夕食の時間になり、呼ばれて食卓に向かうと、既に料理が並んでいた。カレー、オムライス、鶏のから揚げ、見事に優斗の好物ばかり。申し訳程度のこじんまりとしたサラダでは、栄養バランスに難があると思われた。
「今晩くらいは別に良いでしょ。なんたって快気祝いなんだからね」
ご機嫌に母は言った。もちろん優斗も異論無かった。
親子三人で食卓を囲む。正面の母は町内会での愚痴を延々としゃべり続ける。左隣の父はビールを片手に黙ってテレビを見ている。バイク事故で入院することになってからは勿論のこと、今のダチとつるむようになってからは別々に食べることが多かったから、こんなシーンは小学校以来と言っても過言ではない。今日は懐かしんでばかりで年寄りになった気分だと優斗は思った。
「体の方はもう大丈夫なの? 痛んだりしない?」
母が聞いた。
「見ての通りだよ」
「見ても分からないから聞いてるのよ。移植した腎臓、痛くない? ちゃんと機能してる?」
「分かるわけねーだろ。こうして退院できたんだから、大丈夫なんじゃねーの」
「なら良かった。じゃあ明日お祖母ちゃんの家、行ける? 心配してたのよ」
言われてみればそうだった。ドナーへの返礼に気を取られていたが、礼を返すというなら身近な人達の元へ行脚するのが先かもしれない。しかし優斗には明日予定がある。
「明後日で良い? 夜はダチとメシ喰う約束してんだけど」
「退院明けから変なことするつもりじゃないでしょうね」
「しねーよ」
「じゃあ午前中は?」
「午前中は病院に行く」
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