最後の朝

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 何日かすると、美奈ちゃんのお母さんがその本を、私の家に届けに来てくれた。今、その本を読み返し終え、美奈ちゃんちのおじさんに手紙を書いている。 「主人公の少女二人を、私と美奈ちゃんに置き換えて、この本を読んでみて下さい。性格が対照的な二人なので、読み進めて行けば、どっちが美奈ちゃんでどっちが私に当てはまるのか、自然に分かってくると思います。二人、最終的に結論は出せませんが、そこに至るまでの物語の内容全てが、私と美奈ちゃんとの思い出、そのものです」  その本は、二人のこういうセリフで、締めくくられている。 「もうさ、私たちのパパとママは、それぞれ娘が二人ずついるってことで、いいよね」 「じゃ私たち二人も、パパとママが、それぞれ二人ずつ、いるってことだ」  おじさん、これをもって、改めてお返しとさせて下さい。
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