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ええ分かりました、とお前は例の無表情にも見える大人びた表情で静かに頷いた。
ちゃんと救います、と答えた。
そして数年の月日が経ったが、出会ったのが一日前に思えるほど、やはりあっという間に過ぎた。
言葉通りお前はなかなかちゃんと勇者をした。全て実にそつなくこなし終えた。
永遠と言っても過言でない寿命を持つ俺からしたら一瞬の期間、それでも何だか今までの旅で一番長かったような、反対に気づいたら過ぎていたような気もした。
「クルス」
お前が俺を振り返る。なんだ勇者様、と答えると、そろそろ治ったと思う、とお前は言って俺はよかったと答える。
明日にこの村を出ようかなって思ってる。お前は長い紺のシスター服をす、と払って野に座りながら呟いた。俺はその言葉を予想してはいたが、何も言えずに黙っていた。ぺたんと脚を折って黄色い雛菊や白詰草、淡い紫や桜色をした一面の野の花の中で、花冠を編むお前は珍しく肩の力を抜いて見えた。小さな子供が自慢するように、ほら、と俺に花冠を被せる。
「いらねーってば、馬鹿」
「そっか。……あんまり上手に作れなかった」
「あのなそういう問題じゃねえ……。……いいや、もう少し滞在伸ばしたらどうだ? お前はいつも無茶をしすぎる。十分に体を休めていった方が絶対にいい」
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