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片耳の猫は辺りを見回しました。
「誰か」
声を出すと、自分の声がかすかに木霊して返ってきました。
猫は起き上がり、歩きました。
少し歩くと、地面がありませんでした。
恐る恐る覗くと、下の方に地面がありました。
猫は飛び降りました。
簡単に飛び降り、どこも痛めることなく着地することが出来ました。
そして、気づきました。
身体のどこも痛まないことを。
少し歩くと、何かが光りました。
覗き込むと、目の前に大きな猫がいました。
吃驚して後ろに飛びました。
その猫もちょっと遠くになりました。
その猫も片耳がありませんでした。
ただ、色んなところに白い布が巻かれていました。
恐る恐る、近づいて。
猫はその猫と鼻先を触れ合わせました。
いつもなら少し湿った暖かい感触なのに、その猫の鼻先は冷たくてとても堅かった。
その冷たさに驚いて片耳の猫は離れ、暫く見つめ合ってから、去りました。
鼻先の堅い猫が、とても悲しそうな顔で見るので耐えられなかったからです。
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