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「その願い、叶えてあげよう」
突然知らない声が聞こえて片耳の猫は驚いて「ニャア!?」と声を上げてしまいました。
慌てて辺りを見回しましたが、何もありませんでした。
「ハハ、ここだよここ」
陽気な声は頭上から聞こえてきました。
片耳の猫は見上げました。
目線より少し上に、お星さまと同じように光る小さな人がいました。
それは人間ではないようでした。
一目見て、怖い、とは思わなかったので、猫は怖がることはなく「君はだぁれ?」と首を傾げ尋ねました。
「僕は星さ。あの空に光る物と同じ、星。星の神様と呼んでくれればいいさ」
小さなお星さまはにっこりと笑いました。
「そうか、お星さまなのか。こんばんわ、星の神様」
難しいことがわからない片耳の猫は、頭を垂れて挨拶をしました。
素直な猫に星の神様は気をよくし「うん、くるしゅうない」と偉そうに胸を張りました。
「よし、では。お前の願いを叶えてやろう」
「本当!?」
星の神様の言葉に、片耳の猫は嬉しそうにパァっと顔を輝かせました。
「本当さ。君、優しくしてくれた人間に恋したんだろう?」
「恋?」
星の神様の言葉に片耳の猫は首を傾げました。
その様子に、星の神様は「あれ?」と同じく首を傾げました。
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