星の神様

4/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
「その願い、叶えてあげよう」 突然知らない声が聞こえて片耳の猫は驚いて「ニャア!?」と声を上げてしまいました。 慌てて辺りを見回しましたが、何もありませんでした。 「ハハ、ここだよここ」 陽気な声は頭上から聞こえてきました。 片耳の猫は見上げました。 目線より少し上に、お星さまと同じように光る小さな人がいました。 それは人間ではないようでした。 一目見て、怖い、とは思わなかったので、猫は怖がることはなく「君はだぁれ?」と首を傾げ尋ねました。 「僕は星さ。あの空に光る物と同じ、星。星の神様と呼んでくれればいいさ」 小さなお星さまはにっこりと笑いました。 「そうか、お星さまなのか。こんばんわ、星の神様」 難しいことがわからない片耳の猫は、頭を垂れて挨拶をしました。 素直な猫に星の神様は気をよくし「うん、くるしゅうない」と偉そうに胸を張りました。 「よし、では。お前の願いを叶えてやろう」 「本当!?」 星の神様の言葉に、片耳の猫は嬉しそうにパァっと顔を輝かせました。 「本当さ。君、優しくしてくれた人間に恋したんだろう?」 「恋?」 星の神様の言葉に片耳の猫は首を傾げました。 その様子に、星の神様は「あれ?」と同じく首を傾げました。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!