星の神様

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「人間に会いたいんだよね?」 「うん」 「あの人間が好きになったんだよね?」 「うん」 「あの人間を思ったら、心臓の近くが温かくなるんだよね?」 「うん」 「じゃあ、間違ってないね!」 星の神様はまたにっこりと笑うと、掌に星のステッキを出現させました。 細い棒の先に金色に輝く星は眩しいほどで、猫は目を細め少し顔を逸らしました。 ずっと見ていると、目がチカチカして痛かったからです。 星の神様はそんな猫の額に光り輝く星をこつんと当てました。 「あのね、今からね、君を人間に変えてあげる」 「人間……?」 「うん。そしたらね、きっと君が会いたい人間にすぐ会えるからさ」 「……それ、本当?」 「もちろん! でもね、ずっとじゃないんだ。君が人間と一か月以内に結ばれなかったら元の猫の姿に戻っちゃうんだ」 「結……?」 「まぁとりあえず変わってみたらわかるよ。困ったらいつでも僕を呼んでね! それじゃあいっくよー」 片耳の猫が首を傾げて何もわかっていないのを知りながら、星の神様は星のステッキを振り上げた。 「ニャンニャン猫ちゃん。可愛い女の子になぁれ!」 言うと同時にステッキを振り下ろし。 片耳の猫の額に、優しくこつんと当てました。 光り輝く星の光が猫の身体をぐるぐると回るように包み込み。 片耳の猫の身体がふわりと浮きました。 「あ、人間でも片耳がないと変だから、耳はサービスでつけたよー!」 そんな星の神様の声を聞きながら。 目がチカチカするような光に包まれ目を開けていられなくなった片耳の猫は。 その次の言葉を聞くことなく意識を手放した。 「まぁ、きっと一か月経たぬ内に戻っちゃうんだろうけどね」 そんな、星の神様の不穏な言葉を。
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