片耳

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片耳のない猫は、姉弟がたくさんいました。 猫は、ふんわりとした白い毛に覆われた、とても可愛らしい猫でした。 姉弟も、お母さんも、皆同じ姿でした。 だから、片耳のない猫は目立ちました。 お母さんは猫をすぐ覚えました。 区別が付きやすいその猫をお母さんは愛しました。 姉弟も愛しました。 けれど一番目立った片耳のない猫を一番に愛しました。 ただ、わかりやすい。 それだけで。 大きくなるにつれ、片耳の猫は周りの猫とあまりにも姿が違うのが目立ってきました。 姉弟は、片耳の猫がお母さんの一番だったこともあり、嫉妬で除者(のけもの)にしました。 でも猫はお母さんの愛があるから平気でした。 片耳でも、音は充分に聞こえ、問題なかったからです。 実は、ふわふわとした毛の中に小さな耳が隠れているのですが、猫も周りの猫もお母さんもそれに気づくことはありませんでした。 だって、猫はどう見ても、片耳のない猫ですから。
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