1人が本棚に入れています
本棚に追加
片耳のない猫は、姉弟がたくさんいました。
猫は、ふんわりとした白い毛に覆われた、とても可愛らしい猫でした。
姉弟も、お母さんも、皆同じ姿でした。
だから、片耳のない猫は目立ちました。
お母さんは猫をすぐ覚えました。
区別が付きやすいその猫をお母さんは愛しました。
姉弟も愛しました。
けれど一番目立った片耳のない猫を一番に愛しました。
ただ、わかりやすい。
それだけで。
大きくなるにつれ、片耳の猫は周りの猫とあまりにも姿が違うのが目立ってきました。
姉弟は、片耳の猫がお母さんの一番だったこともあり、嫉妬で除者にしました。
でも猫はお母さんの愛があるから平気でした。
片耳でも、音は充分に聞こえ、問題なかったからです。
実は、ふわふわとした毛の中に小さな耳が隠れているのですが、猫も周りの猫もお母さんもそれに気づくことはありませんでした。
だって、猫はどう見ても、片耳のない猫ですから。
最初のコメントを投稿しよう!