星という少女

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「やぁやぁどうだい」 病室を出ると、そこは病院の廊下ではありませんでした。 星が眠った時に見る星空の世界でした。 目の前には、心底嬉しそうな星の神様の笑顔がありました。 「さぁ君はどうしたい? 今、どうしたい?」 星は、感情が消えた瞳を星の神様に向けました。 星の神様は怯みました。 てっきり、なんてことをするんだ! と泣いて喚いてくるものだと思っていたからです。 けれど、星は。 生きる気力を失ったような目で、星の神様を見つめるのです。 「ね、ねぇ、だいじょう――」 「私のせいだ」 星の神様が最後まで言葉を言い終わる前に、星が呟きました。 その感情のない言葉に星の神様の表情が変わりました。 「私が言ったから。私が……」 星は、星の神様を見ました。 そして、ゆっくりと手を伸ばし。 戸惑う星の神様の小さな頬に触れました。 「ねぇ、楽しい?」 聞かれて、星の神様は「え」と声を漏らしました。 「私、もう充分泣いたよ。充分悲しんだよ。もう人に何かならなくていい。皆に嫌われる片耳の猫の姿でいい」 星の目から涙があふれ出しました。 頬は赤くなり、言葉はどんどん叫ぶように大きくなりました。 「だから、だから、私の大事な人を傷つけないで! いらないのは私の方なんだ!」
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