星という少女

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星という少女

病室に入ると、白い布でぐるぐる巻きになっている絵梨が同じく白い布団で横になっていた。 その白い布を見て、星の心臓がどくんと跳ね上がった。 輝と出会ってすぐに見た猫が巻いていたものとそっくりだった。 星は、気づいた。 あれは、自分の姿だったのだと。 星は絵梨の傍に歩み寄るとそっとその細い手を両手で握りしめた。 暖かい。 優しい温もり。 だけど。 指先は、冷たく、色が青白く見えた。 絵梨の顔を覗き込んだ。 青白い色の表情はどこかやつれていて。 つい先ほどまで見せてくれていた優しい笑顔の絵梨はどこにも居なかった。 匂いも、ツンとして鼻をつく匂いばかりで、絵梨の甘くて優しい香りはしなかった。 まるで、別人のような、絵梨。 でも、微かに香る匂いは、確かに絵梨だった。 そんな絵梨の様子に輝は何も言えず凝視していた。 そして、ゆっくりと。 絵梨の横たわる傍にある椅子に腰かけ、顔を両手で覆った。 その手の隙間から漏れ聞こえる嗚咽。 輝は、声を押し殺して泣いていた。 そんな輝の様子に気づくこともなく、苦しそうな表情で眠る絵梨。 星は、輝を見て、絵梨を見た。 今までの幸せが、一瞬で崩れ去る音がした。 星は。 ふらつきながら病室を出た。
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