第1話 初恋

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5月の半ばにクラスの親睦会を兼ねた宿泊研修があった。 昼間は勉強という名のクイズ大会をしたり、レクリエーションをしたり。 夜は肝試しがあった。 怖いのが苦手な私は、同じ班のあかりたちとキャーキャー騒いでいた。 班はクラスを出席番号で半分に割ったメンバー。 アカリ、ラン、モモコの3人とは同じ部屋だった。 他の友達も交えてお決まりの恋話。 初恋はいつ?とか、初彼は?とか、 何人付き合った?とか、 キスしたことある?とか。 初体験が済んでいる人は、意外にもいなかったみたいだけど…。 お決まりのそんな話題。 「じゃあ次。ナナは?」 どうしよう…… 私、ちょっと複雑な経歴だから、何て話そう…? というより、彼のこと話そうかな? 「初彼はね。 彼氏なのかわかんないけど、中2のときに1人付き合った…っていうか、何というか。」 「きゃー!その人とはどこまで?」 「キスはしたよ。 でも初キスじゃないんだよね。 初キスは小1で…って興味本位のやつだよ?」 「小1?マセてるなぁ~!」 「でもね、ちゃんと誰かを好きになったことってないかも。」 私がそう言うと、ガッくんを知っている誰かがこう言った。 「噂のガクさんの従妹ってナナなんでしょ?」 ここでガッくんが有名人なのを思い知る私…。 「えー!?そうなの?」 「ガクさんが従兄じゃねぇ。 ナナって理想高そう。」 「てか、ガクさん彼女いないなら紹介してよ~」 は、始まった。 人の恋愛の間に入るのは二度と御免だ。 「うーん。ガッくんいい感じの人いるからね…。」 話を終わらせたくて適当にごまかした。 そんなこんな盛り上がっていたら、 「早く寝なさい!」 見回りの先生に怒られ、みんなしぶしぶ布団に入り、話は終わった。
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