第1話 初恋

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宿泊研修の翌日、いつもの4人でランチに行った。 話題はもちろん昨日の恋話の続き。 3人ともすごく可愛いのに彼氏がいない。 そしてここで、ランはガッくんが気になっているということが発覚したのだ。 もし2人が付き合ったら、美男美女の理想的なカップル。 お似合いだけど、自分に近すぎる二人なので紹介するのは気がひけた。 「ナナって本当に好きな人いないの? まさかガクさんじゃないよね? 従兄なら結婚できるし…。」 どうやら遥々遠くから私がこの町に来たのは、 私がガッくんを好きだから。 と思っている人が多いようだということを知らされた。 でも… 私はグラスのアイスコーヒーとガムシロップを混ぜながら、初めて重い口を開いた。 「絶対ないよ。 お互いにそんな目で見たことないし。 見れないし。 というか……本当は気になる人いるんだよね。」 私がそう口にすると、3人は皆同じ反応を示した。 「えーーー! 誰っ?誰っ?」 「何であの時話さなかったのー?」 私はガムシロップが混ざり、甘くなったコーヒーを一口飲んで、もう一度口を開いた。 「寮の近くにコンビニあるじゃん。 そこの店員さんなんだけど…。」 「えーどの人? 私、見たことあるかな?」 「月曜日の夜と水曜日の朝と…… 多分そこでいつもいるよ。 サラサラの黒髪の……」 「どの人かな?」 「水曜日学校行く前にみんなで見に行こうよ!」 勇気を出して彼のことを話した瞬間、 みんなで彼を見に行くことが決まってしまった。
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