第1話 初恋

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その日私は一日中ぼーっと過ごした。 授業なんて、もちろん耳には入ってくるはずがない。 あの女の人綺麗だったな。 もし彼女なら、美男美女で本当にお似合い。 私、勝ち目ないじゃん。 モヤモヤした私は、学校帰りに1人でふらっと東浜に立ち寄った。 いつものベンチに腰かけ、波の音を聴きながら空を見上げた。 梅雨が近いせいなのか、この日の空は曇っていた。 梅雨になったらここには来れないな…。 そんなことをぼんやりと考えた。 そしてこの日はガッくんたちに会うこともなかった。 寮に戻り鏡に自分の姿を映す。 入学式直前に染めたオレンジ色の髪は、伸びて根元は真っ黒のプリンになっていた。 なんか私、汚いな…。 彼と楽しそうに話していた女の人と自分を比べると、どこを見ても見劣りしてるように感じた。 綺麗になりたい。 少しでも彼に釣り合う女になりたい。 次の週末、私は思い切ってイメチェンをすることにした。
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