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ー2002年4月ー
私は1人、私立海南学園高校部の正門に立ち、満開の桜を見上げた。
櫻木七海15歳。
この場所から、どんな物語が始まるのだろう…。
春の潮風に包まれ、思いを巡らせていると、ポンと肩を叩かれた。
振り返ると同じ寮に住む、白石あかりが笑顔で立っていた。
「ナナ、おはよう!
同じクラスだね!学校でもよろしくね!」
「よかった。こちらこそよろしくね!」
人なつっこいあかりとは、入寮した日からすぐに仲良くなっていた。
あかりが同じクラスとか頼もしい。
「桜…綺麗だね……。」
「うん…。
ってか、ナナって見た目のわりに不思議ちゃんだよね。」
あかりがそう言った瞬間、風が吹き桜の花びらが春の空に舞った。
私はぼーっとそれを見上げた。
「ナナ、先行くよ!」
「うん…教室でね。」
私はそのまましばらく、風に舞う桜の花を眺めていた。
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