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「あのさ、そのコンビニって寮の南側のとこだよね?」
「うん、そうだよ。」
「まじかー。
ナツさんに聞いたら知ってるかも。
たしかナツさんもそこでバイトしてるって言ってたような…。」
「えっと…ナツさんって、ハルくんのお兄ちゃんだよね?」
「そうそう。
つーか、ナツさんに頼んでみよっか?
ナナに連絡するように伝えといてって。」
ガッくんのその一言に、胸の鼓動が速まった。
でも、、期待しちゃダメ。
彼はきっと、あのスレンダー美女と付き合ってるに違いない。
傷が深くなる前に忘れるのが自分のためだ。
「やめてよ~。
ナツさんも迷惑だって!
そもそも会ったこともないのに、そんなお願いできないよ。」
「そんなに気になってんのに?」
「ううん、もう忘れるって決めたの。
あ、ハルくんたちにも絶対言わないでよ!」
「はいはい。
ナナの気が変わったらいつでもナツさんに頼んでやるからな。」
「うん、ありがとう。
もしも…のときはね。」
「それにしても今日は暑いなぁ。
アイス食べたくない?」
「食べたいかも。」
「そのコンビニ行くか!
そいつがいたら、オレが彼氏のフリしてやるから。
それに、ナツさんいたら奢ってもらえばいいし(笑)」
「………行かない。」
結局違うコンビニでアイスを買ってマンションへ戻った。
ガッくんやナツさん伝いに彼と会えるかもしれない。
忘れる、と決めてはいるけれど、正直なところ不安半分期待半分。
スッキリしない気持ちで、ほろ苦いチョコレートアイスを口に運んだ。
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