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第3話 夏のおとずれ
それから程なく終業式がやってきた。
梅雨も明けて季節はすっかり夏。
夏休みもお盆を除いてこの町に居る予定だったので、地元民であるランやモモコと遊ぶ計画をたくさん立てた。
ガッくんたちとも、海でBBQをしたりサッカーの大きな試合を見に行ったり…と予定を立てていた。
彼氏なんていなくたって楽しい夏になりそう。
私はこの夏休みが楽しみでしかたなかった。
終業式のあとのHRが終わり、携帯を開くとキョンちゃんからの着信が入っていた。
今日、お母さんが来るからそのことかな?
そう思いながら、折り返しの電話をかけた。
キョンちゃんは1コールで電話に出た。
「もしもしナナ?まだ学校?」
「うん。夕方のことだよね?」
「そうそう、ユウちゃんが来ることなんだけど…。
実はガクがね、携帯忘れて出かけちゃってて。
ナナ、ガクにユウちゃんとご飯食べに行くから5時半には帰ってきてって伝えといてくれないしら?
今、仕事中で戻れないから。」
ガッくんのことだから、不携帯電話でもそのまま飲みに行って帰ってこない、なんてことも充分ありえる話だ。
「いいよ。
ガッくんのことだし、東浜の公園にいるよね。」
「そうね。ありがとう、よろしくね。」
電話を切った瞬間、ガッくんファンであるランがすごい剣幕で駆け寄ってきた。
「ナナ、今からガクさん探しに行くの?
私も行っていい?」
「私も!
それでそのままファミレスでも行こうよ。」
さりげなく便乗するモモコ。
「いいよ!いこいこー!」
少しだけ髪と化粧をなおし、3人で東浜海浜公園を目指した。
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