第3話 夏のおとずれ

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海沿いの遊歩道を歩いていると、ハルくんとソウくんが公園前のベンチに座っているのが見えた。 「ハルくんにソウくん!」 私が駆け寄ると、2人はベンチから立ち上がって私たちに手を振った。 「ナナちゃん、帰り? 友達も一緒って珍しいね。」 ハルくんはそう言うと、2人を覗きこんだ。 「あ、そうだよね。 それより今日ガッくんは?」 私が尋ねると、ソウくんが口を開いた。 「ガクはナツさんとコンビニ行ってるよ。」 「そうなんだ。キョンちゃんから伝言頼まれてるんだけど…。」 「すぐそこだから、そろそろ戻ってくるんじゃない?」 ハルくんはそう言いつつ、2人のことが気になっているようだった。 「それなら良かった。 あ、この2人ね、高校のクラスの友達のランとモモコ。」 「初めまして。」 「2人も寮生なの?」 「ううん。2人はこの辺、というよりハルくんと同じ中学だよ。」 私がそう言うと、ハルくんは何かを数えた。 「まじで!? でもナナちゃんの同級生なら…4個下だし被ってないからなぁ。」 5人で話していると、ガッくんとどこかで聞いたことのある声が近づいてきた。 「ナナちゃん、ガクのこと探しに来たみたいだよ。 つーかナツもガクもおせーよ!」 ハルくんがそう言った瞬間、私たち3人はガッくんたちの方に振り向いた。 「あ、ガッくん……… えっ?!」 私は目を疑った。 だって、だって…。 ガッくんの隣に立っていたのは、 紛れもない、あのコンビニの彼だったから……。
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