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「まさか彼がガクさんの先輩だったなんてね…。」
海沿いの遊歩道を来た方向に歩きながら、ランがそう呟いた。
そう言いつつ、ランもモモコもニヤニヤしているように見える。
「ナナ、どーすんの?」
「どうもこうも、せっかく忘れようとしてたのに…。
っていうかこの前ガッくんがね、ナツさんもあそこでバイトしてるって言ってたの。
でもナツさんってガッくんの二つ上だよ?
私たちの6個上。
そんな上に見えないじゃん。
ハルくんとも全然似てないし。
だからまさかナツさんがあの人だったとか想像もしてなかったよ。
もーーーぉ!!!」
私は思わず海岸線目がけて叫んだ。
近くにいる子供たちが振り返って不思議そうにしていた。
「ナナ、落ち着いて。」
「とりあえず何食べる?」
2人は食べたい物をあれこれ話し合っているけれど、私は食事どころじゃない。
「私…かき氷でいい!
食欲ない!」
「ナナ…すっかり恋する乙女ね。」
そういえば、ガッくんたちも今から昼ごはん食べに行くって言ってたっけ。
ナツさんも一緒だよね。
それより、夕方ガッくんに会ったら何か聞かれるんだろうな……。
はぁ~。
大きなため息がこぼれた。
ファミレスに入り、完全に上の空の状態でかき氷を食べて、少し話して寮に一旦帰った。
この日はお母さんと一緒にガッくんのところに泊まるので、荷物を準備したり着替えたりと準備を進める。
そんなことをしていたら携帯から音楽が流れた。
お母さんかな?
それともキョンちゃん?
携帯を開くと、画面に表示されていたのは登録されていない番号だった。
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