第3話 夏のおとずれ

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「ナナミちゃんって、メロンパン好きなの?」 突然話題を振られ、私は我に返った。 「あ、そうですね。 好きですよ。 …メロンパン、いつも買ってるって思ってるでしょ?笑」 そう言うと、ナツさんはフッと笑った。 「オレ、実はナナミちゃんのこと“オレンジ頭のメロンパンナちゃん”って頭の中で呼んでたんだよね。 ある日急に髪暗くなったけど。」 私が髪の色を変えたこと、覚えてくれていたんだ…。 少し顔が赤くなるのを感じ、持っていたタオルで口元を隠した。 「ちょっと大人になろうかな、って思って。 ていうか、メロンパンナって…。」 「いつもメロンパン買ってるじゃん。 でもさ、毎日メロンパン食べてるって言ってたけど、ナナミちゃん細いよね。」 「細いですか? いや、細くないですよ。」 確かに私は細い方かもしれないけれど、ナツさんと話していたスレンダー美女を思わず思い出し、そう言ってしまった。 「オレの中では…もうちょっと肉ついててもいいかなってくらいだよ。」 「いえいえそんな。」 そのままジリジリと照りつける太陽の下で、ナツさんと色々なことを話した。 ナツさんは思っていた以上に大人。 優しくて紳士的。 褒め上手。 一度は諦める、忘れる、って決めたけど、再会からほんの数十分で、私はナツさんのことが、どうしようもないくらい好きになってしまっているのを感じた。 ナツさんともっと近づきたい。 もっと一緒にいたい。 彼女になりたい…。 そんなことを思ったときだった。
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