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「ナナミちゃんって、メロンパン好きなの?」
突然話題を振られ、私は我に返った。
「あ、そうですね。
好きですよ。
…メロンパン、いつも買ってるって思ってるでしょ?笑」
そう言うと、ナツさんはフッと笑った。
「オレ、実はナナミちゃんのこと“オレンジ頭のメロンパンナちゃん”って頭の中で呼んでたんだよね。
ある日急に髪暗くなったけど。」
私が髪の色を変えたこと、覚えてくれていたんだ…。
少し顔が赤くなるのを感じ、持っていたタオルで口元を隠した。
「ちょっと大人になろうかな、って思って。
ていうか、メロンパンナって…。」
「いつもメロンパン買ってるじゃん。
でもさ、毎日メロンパン食べてるって言ってたけど、ナナミちゃん細いよね。」
「細いですか?
いや、細くないですよ。」
確かに私は細い方かもしれないけれど、ナツさんと話していたスレンダー美女を思わず思い出し、そう言ってしまった。
「オレの中では…もうちょっと肉ついててもいいかなってくらいだよ。」
「いえいえそんな。」
そのままジリジリと照りつける太陽の下で、ナツさんと色々なことを話した。
ナツさんは思っていた以上に大人。
優しくて紳士的。
褒め上手。
一度は諦める、忘れる、って決めたけど、再会からほんの数十分で、私はナツさんのことが、どうしようもないくらい好きになってしまっているのを感じた。
ナツさんともっと近づきたい。
もっと一緒にいたい。
彼女になりたい…。
そんなことを思ったときだった。
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