第1話 初恋

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そうは言ったけれど、本当は気になっている人がいた。 寮から学校へ行く途中にあるコンビニ。 この町に来てから、昼夜構わず私はそのコンビニに通っていた。 入学式から1週間ほど経った4月にしては暖かい夜のことだった。 あぁ喉乾いたな。 炭酸飲みたいな…。 そんなことを思った私は、消灯時間の少し前、1人でそのコンビニへ駆け込んだ。 コーラと翌朝用のメロンパンを手に取り、レジの前に並んだ。 「次にお待ちのお客様…」 そう呼ばれて空いたレジへ行くと…… 女の子にしてもいいような綺麗な顔立ち。 サラサラの黒の長めの髪。 身長はけして高いとは言えないけれど、ほどよく鍛えられた身体。 私は彼を見て、思わずドキっとした。 ドキドキしながら見上げると、目が合った。 やや垂れめで切れ長のくっきりとした綺麗な瞳…。 私がドキドキしていることを知ってか知らずか、彼は慣れた手さばきで袋詰めをしていた。 「お釣りとレシートです。」 あまりにドキドキしていたからか、 彼と手と手が触れた瞬間、私は思わずお釣りのコインを落としてしまった。
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