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そうは言ったけれど、本当は気になっている人がいた。
寮から学校へ行く途中にあるコンビニ。
この町に来てから、昼夜構わず私はそのコンビニに通っていた。
入学式から1週間ほど経った4月にしては暖かい夜のことだった。
あぁ喉乾いたな。
炭酸飲みたいな…。
そんなことを思った私は、消灯時間の少し前、1人でそのコンビニへ駆け込んだ。
コーラと翌朝用のメロンパンを手に取り、レジの前に並んだ。
「次にお待ちのお客様…」
そう呼ばれて空いたレジへ行くと……
女の子にしてもいいような綺麗な顔立ち。
サラサラの黒の長めの髪。
身長はけして高いとは言えないけれど、ほどよく鍛えられた身体。
私は彼を見て、思わずドキっとした。
ドキドキしながら見上げると、目が合った。
やや垂れめで切れ長のくっきりとした綺麗な瞳…。
私がドキドキしていることを知ってか知らずか、彼は慣れた手さばきで袋詰めをしていた。
「お釣りとレシートです。」
あまりにドキドキしていたからか、
彼と手と手が触れた瞬間、私は思わずお釣りのコインを落としてしまった。
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