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「大丈夫ですか?」
彼は慌ててカウンターから出てきて、
落ちたお金を拾って渡してくれた。
「あ…ありがとうございます。」
私はそれだけ言うのが精一杯だった。
そして翌日、同じくらいの時間にまたそのコンビニへ行った。
彼はいなかった。
しかしその翌朝、学校へ行く途中にコンビニに寄ると、
あの彼がレジに立っていた。
私は思わずメロンパンとペットボトルのお茶を手に取り、彼が立っているレジへ向かった。
そして袋詰めしている顔をさりげなく覗きこむ。
あぁ、かっこいいなぁ…。
「ありがとうございます。」
低めの優しい声にまたドキドキ。
それから私は、毎日朝と夜そのコンビニに通った。
彼に覚えてほしくて、
私は毎日大好きなメロンパンを買った。
3週間通うと、彼のシフトが何となく把握できた。
週に4回彼に会う。
名前を知りたくて名札を探したけれど、
彼はいつ見ても名札をつけていなかった。
名前何て言うんだろう?
見た感じガッくんくらいの歳だけど、大学生かな?
大学生なら…この場所ってことは海南大?
彼女はいるのかな?
あれだけカッコイイんだから、いないはずないよね…。
私は気づけば、いつも彼のことばかり考えていた。
あかりたちの寮の友達とは、たまに海南大の学食にご飯を食べに行っていたので、学内に彼がいないか探してみたけれど、見かけることはなかった。
これって恋なのかな?
だとしたら初恋!?
あかりたちにも、ガッくんにも、
打ち明けようかと思いながらも、私は彼のことをなかなか口にできずにいた。
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