第1話 初恋

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「大丈夫ですか?」 彼は慌ててカウンターから出てきて、 落ちたお金を拾って渡してくれた。 「あ…ありがとうございます。」 私はそれだけ言うのが精一杯だった。 そして翌日、同じくらいの時間にまたそのコンビニへ行った。 彼はいなかった。 しかしその翌朝、学校へ行く途中にコンビニに寄ると、 あの彼がレジに立っていた。 私は思わずメロンパンとペットボトルのお茶を手に取り、彼が立っているレジへ向かった。 そして袋詰めしている顔をさりげなく覗きこむ。 あぁ、かっこいいなぁ…。 「ありがとうございます。」 低めの優しい声にまたドキドキ。 それから私は、毎日朝と夜そのコンビニに通った。 彼に覚えてほしくて、 私は毎日大好きなメロンパンを買った。 3週間通うと、彼のシフトが何となく把握できた。 週に4回彼に会う。 名前を知りたくて名札を探したけれど、 彼はいつ見ても名札をつけていなかった。 名前何て言うんだろう? 見た感じガッくんくらいの歳だけど、大学生かな? 大学生なら…この場所ってことは海南大? 彼女はいるのかな? あれだけカッコイイんだから、いないはずないよね…。 私は気づけば、いつも彼のことばかり考えていた。 あかりたちの寮の友達とは、たまに海南大の学食にご飯を食べに行っていたので、学内に彼がいないか探してみたけれど、見かけることはなかった。 これって恋なのかな? だとしたら初恋!? あかりたちにも、ガッくんにも、 打ち明けようかと思いながらも、私は彼のことをなかなか口にできずにいた。
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