沖田総司 最期の一日

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それが総司には面白かった。 声を上げて笑うと、島田に向き直る。 「これから少し、私に付き合ってくれませんか」 そう言うと、人目を避けるように木の生い茂る森の中へと足を向けた。 暫く歩き、駐屯所が見渡せる小高い場所まで来ると総司は足を止め近くにあった手ごろな倒木へと腰を下ろした。 そして島田を見て自分の横を手で叩いている。 ここに座れという事だろう。それに従って島田が座ると、満足そうに笑った。 「島田さんとはもう随分と長い付き合いになるというのに、二人で真面目な話などしたことがありませんでしたね。話題と言えば甘味の事ばかりで」 「そうでしたね」   くすくす、と楽しそうに笑う総司に何と返せば良いのか分からず、無難な言葉を必死で探す。 それが総司にはおかしかったようだ。 「土方さんに拒否されてしまいました。共にいる事、戦う事」 あなたの聞きたい事などお見通しですよ、とでも言うように軽い口調でそう切り出す。 その表情は悲しげでもなく、怒りを湛えたものでもなく、いつも通り飄々としていた。 「だから、明日は新選組と共に戦います。勿論、近藤さんの為に」 いつもの口癖だった。 土方を守るのは近藤の為。戦う理由、旧幕府軍として行動を共にする理由、総司の行動全ては近藤の為だった。
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