ギブ・アンド・テイク

六月十一日

「ニカッ」というオノマトペをそのまま表したようなあの笑顔だけがイメージとして定着しており、駅で目にする看板やたまたま手に取った文房具に記されているような、キャラクターみたいなものなのだ。
「常に一緒にいたい訳じゃなくて、いたらいいな、って感じなんだよ」
「そか。ブスとか言って悪い、じゃあ今日も会えたらいいな」
謝るジェスチャーに「いただきます」の動作も兼ねたらしい合掌をしてから、相田は売店の焼きそばパンの袋を開けた。
俺も弁当箱のフタを開ける。パンを食べる相田を見ながら、今日寄る時は焼きそばパンにしようかな、と思った。