0人が本棚に入れています
本棚に追加
茶封筒の中に入っていたのは、何の変哲もない1枚のDVD。
可憐はいつも、眠気が体を包んでくれる夜更けがくるまで、長い時間をダラダラと過ごす。しかし今日は、寝付ける気がまったくしなかった。
意を決し、両親が買ってくれたパソコンを立ち上げ、DVDを挿入した。このパソコンも、しばらく使っていなかった。
動画再生ソフトが自動で立ち上がった。どうやら動画らしい。黒い画面が切り替わると、画面に注意書きが現れた。
『この動画の再生は一度きりです。再生が終わると自動的に消滅します』
注意書きがフェードアウトすると、画面に天使愛の姿が現れた。お気に入りだったワンピースを着ている。背景は真っ白で、どこにいるかは分からない。
愛の口元が動くのを見て、可憐は慌ててヘッドホンを付けた。ちょうど愛が喋り始めたところだった。
『可憐……、元気?きっと元気ね……』
ゆっくりと、愛は語りはじめる。
『可憐、ごめんね。あなたがきっとこれを見てる時には、もう私は、きっとあなたのそばにはいないと思う。
本当にごめんね……。
あなたとは女同士、もっとたくさんお話したかった。もっとたくさん、色んな所に行きたかった。もっとたくさん……。
最初のコメントを投稿しよう!